自己肯定感の低い人の原因と特徴/問題の根底にある魔物は教育の落とし穴だった

問題





「私は人並みに能力がある」

「私にしかできないことがある」

こう思っている人が世の中にどれだけいるでしょうか?

2017年6月に行われた教育再生実行会議をきっかけに「自己肯定感」を高める考え方が流行していますが、日本人は外国に比べて圧倒的に劣っている傾向があります。

今回は、自己肯定感の低い人の原因と特徴、そして文部科学省が発表した調査結果の落とし穴をご紹介します。


文部科学省が発表した「高校生の生活と意識に関する調査」の落とし穴

国際比較①
平成26年度 文部科学省「2-1高校生の生活と意識に関する調査」より

「高校生の生活と意識に関する調査」って?

上図は文部科学省が発表した高校生を対象とした意識調査。

≫詳しく見たい方はこちら「高校生の生活と意識に関する調査 PDF」

・私は人並みの能力がある

・自分はダメな人間だと思うことがある

この2点を当時の高校生に対してアンケート調査し、その結果を米国・中国・韓国の高校生の回答、そして過去の調査結果と比較したものです。

予想通りの結果ですが、日本は「私は人並みの能力がある」という質問に対して「とてもそう思う」が7.4%。「まあそう思う」が48.3%。「あまりそう思わない」が35%といずれもネガティブな結果に。

そして「自分はダメな人間だと思うことがある」という質問に対しては「とてもそう思う・まあそう思う」が約70%を占めています。

そのうえで文部科学省はこのように結論付けています。

日本の子供たちの自己肯定感(「人並みの能力がある」、「ダメな人間だと思うことがある」)は諸外国に比べ低い状況であるが、前回調査に比べると肯定的な回答が増加し、否定的な回答が減少している。

各国とも自己肯定感に関する項目(「自分自身に満足している」)と「長所」「挑戦心」「主張性」に関する項目(自己の中にある対自的なもの)は共通して関係がみられるが、日本においては「自己有用感」に関する項目(他者との関係の中にある対他的なもの)が他国に比べ強い関係がみられた。
「2-1高校生の生活と意識に関する調査」より

データとしては割合、否定的な回答が減少しているかもしれませんが、「自己有用感」を持ち出して結果的に、ここだけは他国と比べて優れている、として調査が終えているのに不自然さを感じます。

本質は、多くなったとか少なくなったと調査すること自体が目的ではないので、少ない→多くしたいのならその原因を突き止めて日本を、教育を変えていかない限りムリでしょ?ということ。

 

「死にがいを求めて生きているの」で教育の落とし穴が浮き彫りに

私の意見ですが、実際にその自己肯定感の低い子供たちが多い原因は「個性を尊重」という社会背景にあると思います。

ゆとり世代と言われた子供たちは今20代30代と大人になっていますが、その頃からの社会風潮として「ナンバーワンじゃなくてオンリーワン」とか「個性を伸ばす」と言った環境で育っています。

上に掲載しているのは、ゆとり世代で育ち個性を伸ばす考えに疑問を抱いている朝倉リョウさんの著書死にがいを求めて生きているのという本。

インパクトのあるタイトルですが、この本を書いた朝倉リョウさんは4月17日NHKの番組内でこう語っています。

ナンバーワンじゃなくてオンリーワンとか個性を大事にする環境で育っていると、肩の力を抜いて生きていけるんですが、でも結局その先どうしたらいいのか分からない、と強く感じていました。
NHK番組内 朝倉リョウ談

この話しにえらく納得してしまいましたが、ナンバーワンになれなくってもその人らしさがある個性を磨いていく…でもそれって矛盾してますよね。

今の幼児・学校教育でも唯一、競争があるのは運動会・マラソン大会くらいのもので、あとは順位に関係なくみんな平等に褒められることが多い。

小学校のかけっこで1番になれなくても、「あなたは野球が得意だから」と慰めて、その野球でも三振ばっかりだったら、次は「絵が上手だから」と慰めて、その絵もコンクールで入選すらしなかったら、次はまた違う言葉をかけてあげれますか?ということ。

「オンリーワン=ナンバーワンから逃げる」ことではないと思うので、その辺りは教育者や親のさじ加減が難しいですが、何をやっても上手くいく人の方が圧倒的に少ないわけで、それ以外の子たちは失敗しても優しくされればされるほどに「どうして自分ってこんなダメなんだろう…」という負のマインドに切り替わり、そのまま大人になってしまうわけです。

また、映画監督の北野武さんはこう語っています。

他人より自分のいいところを探しなさいとか、自分にしかない個性とか、誰でも特別な才能があるんだって言うけど、あれはウソだよね、ないヤツはないもん。

俺なんてなんもない、ただ偶然見つかったのがお笑いだっただけで。

でも、なくても良いっていう教育したほうが良いと思う。

「人生をあんまり重く考えすぎるな。楽観的に生きろ 」北野武談より

 

日本人には自己肯定感が低い魔物が住んでいる

魔物日本人が外国人に比べて自己肯定感が低いのはなにも子供だけに限ったことではありません。

 

内閣府が公表した、日本を含めた7ヶ国の13歳~29歳を対象とした意識調査によると、

自己認識
内閣府「今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~」より

自己認識②
内閣府「今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~」より

このように幅広い世代を対象とした調査でも、高校生とおなじような結果になっています。

注目して欲しいのはこの調査結果は、平成25年度の「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」から抜粋されたもので、前章で紹介した高校生を対象とした調査とほぼ同時期に行われたもの。

ということは、平成25年時点で小さい子供・高校生・29歳未満の大人すべてが「自己肯定感」が低いということです。

これはつまりゆとり世代に関わらず、日本全体が「自分に満足していない」「自分の長所が分からない」という状況に陥っているため、家庭を築いて子供を育てていく親自身もその状態だったら、子供への影響は…当然伝わっちゃいますよね。

大事なことは、外国に比べて低いからやばいよね?という話しではなく、それによって社会競争力や経済に影響を与えるという点。

自国の長所、他国より優れているところ、自国の伝統・文化を肯定する考え方がないと世界と対応に渡りあっていくことなんてまずできないし、国同士だけではなく企業単位でも同じことが言えます。

前章の北野さんの話しでもありましたが、30歳になっても40歳になっても自分のやりたいこと、得意なことが見つからず、取り得がない人は実際たくさんいるわけで厳しい話し、死ぬまでに見つからない確率は子供に比べたら高い。

そんな人たちに「ほかにあなただけの個性があるんじゃない?」と言うのは無責任。立派な教育者ぶってその場を取り繕うだけの言葉で人は傷つきます。そして、その傷はやがて大きな魔物に。

「ほかに個性があるんじゃない?」じゃなくて「色々試したけどあなたには得意なものがなかったんだね」。それはそれで凹みますが、でも開き直った方が人は大胆になれるし、しがらみから抜け出すことが出来ます。

自己肯定感とは?定義を見る

楽しそうな女性
さて、ここまで難しい話しを突き進んできましたが、そもそも自己肯定感って何なんでしょう?

 

「自己肯定感」「自己存在感」「自己効力感」は違う意味?

自己肯定感とは自分の存在や生き方を自ら評価できる感情のことで、ほかに自尊心・自己存在感・自己効力感なども同じ意味合いで使われています。

表現が違うだけで自己評価を表す感情のことに変わりはありません。

また、前章で紹介した「自己有用感」は他人に認められた、褒められて嬉しかったなど相手の存在なしでは生まれてこない感情のこと。

「クラスで1番足が速い」→自己肯定感が強い

「1番足が速くて対抗リレーに出るからみんなの期待に応えたい」←自己有用感が強い

という感じでしょうか。

日本では、欧米の「褒められる=自信を持つ」ではなく、「認められる=自信を持つ」のように自己有用感を重要視する教育なので、そもそも肯定感が強いかどうか欧米と比較すること自体、おかしいのかもしれませんね。

 

流行っている背景

2017年6月に行われた第二次安倍内閣直属の「教育再生実行会議」で、

「自己肯定感」を高め、自らの手で未来を切り拓く子どもを育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上を取りまとめ、子どもたちの自己肯定感を育む取り組みを進めていく

という方針が打ち出されました。

この頃から、教育現場やメンタルヘルス分野でも「自己肯定感」という言葉がたびたび使われるようになり、一般的によく耳にするようになりました。

また、「日本セルフエスティーム普及協会」が誕生し、講師認定制度を設けるなど普及活動を行っている団体も存在します。

興味がある方は覗いてみると参考になると思います。

自己肯定感が低い人の特徴

隠れる自分ってダメだなぁって思う瞬間は誰にでもあると思いますが、特にその傾向が強い人の特徴を挙げてみます。

 

自尊心が低い

自尊心は肯定感とほとんど同じ意味合いですが、心理学的には「自尊感情」と表現されます。これは自分に価値があるかどうかという感覚のことで、自尊感情が高ければ自分を認める気持ちが強くなる特徴があります。

例えば職場で仕事を任されたり、難しい役割分担をされたときに「自分には無理」「どうせ失敗する」と考える人は自尊心が低い傾向があります。

 

自分に自信がない

自分に自信が持てない人の特徴としては、周囲の人のちょっとした言動や態度に過剰反応しやすく、周りから与えられる影響をネガティブに捉えがちです。

そんな方はいくら深く考えても答えはあなたの中に存在しないので、あなたらしさを呼び覚ます「楽しいこと」に時間を使うことをおすすめします。

 

恋愛がうまくいかない

恋人や片想いしている異性との恋愛関係がうまくいかないときに「私ってダメだなぁ」と自分を責めることが多い人も肯定感が低い傾向にあります。

片想いで「私のことなんか眼中にないかも」「私があんなこと言ったから嫌いになったのかも」といつも頭の中は、飛躍した考えでいっぱいになっていませんか?

思いつめた末に実はそんなことなかった時、ホッとしてしまう人は「可愛そうな私」に依存している可能性がありますね。

 

親のせいだと思っている

人の性格や考え方は親や生まれ育った環境に大きく影響されます。特に性格は親からの遺伝が強く、変えることは難しいでしょう。

しかし、人生を楽しく生きれなかったり自暴自棄になると自分の親がうらめしくなってしまう方は、肯定感が低く、長いあいだストレスに晒されたことで、心の問題が大きくなっている可能性があります。

この負の連鎖から抜け出すには思い切って今の環境・習慣から抜け出す必要があるでしょう。

 

いじめにあった

幼少期から気が小さかった人はふとしたことから、いじめの対象になることがあります。

少しでもいじめや嫌がらせにあった子供はその事実が受け入れられず、大人になってもトラウマとなって心に刻まれているため、自分に対する肯定感は極端に低い可能性があります。

いじめられた経験を肯定することは困難ですが、辛い経験をバネに活躍している人は世の中にたくさんいます。

 

うつなどの病気

肯定感が低い→自信がない→自分が嫌い→うつになることがあります。日本人は半分以上が肯定感が低い人種なので、うつになるまで思いつめる人は性格によるところが大きい。

うつのほかに社会不安障害や自閉症、統合失調症なども肯定感の低さの延長線上にあるので、苦しくてどうしようもないときは周りにSOSを出す必要があります。

 

関連記事:自分が嫌いでしょうがない/自分を変えたいなら今すぐやるべき4つの対処法

関連記事:自分を変えるには環境と習慣を変えること/夢を叶える1冊のノート

自己肯定感の低いパートナーとの接し方

接し方男女ごとに特徴を見てみます。恋人や婚約者が肯定感が低い人の場合に知っておきたい対処法を紹介しておきますね。

 

自己肯定感の低い男性

肯定感の低い男性は、

・自己主張ができない

・クヨクヨした男

こんな特徴があります。しかし、女性のあなたが肯定感が強く自分に自信がある方なら相性は合うし、ほかに好きなところがあるから一緒にいるんだと思います。

しかし、会社で仕事をしているとこの肯定感の低さが災いとなって、出世できない可能性が。

「あげまん」という言葉があるように、出世してお金持ちになる旦那の影には奥さんの存在があるものです。これは、経営や具体的なことに奥さんが参画している場合もありますが、ほとんどの場合は、奥さんが旦那さんを肯定して上手に操っているケース。

1番身近にいるあなたが彼を認めて、褒めて、支えてあげたら男は、会社でもきっと頑張れるはずです。

 

自己肯定感の低い女性

反対に固定感の低い女性がパートナーの場合、男性はどのように接すればよいのでしょうか?

女性の場合、「結果」を大事にする男性と違って、「そこに至るまでの過程」を重要視するので女性の方が悩みやすい傾向があります。

女性の悩みと言えば、仕事・恋愛・結婚・子育てなどさまざまですが、逆に言えば肯定感が強ければほとんどの悩みは解決してしまいます。

それが難しいから悩んでいるわけですが、おもに

・子育てへの影響

・生理不順など体への影響

女性は心の不調が体に変化となって現れやすい傾向があります。

悩んでばかりいると生理不順・便秘・頭痛など生活に支障をきたす可能性も。パートナーであるあなた(男性)が気付いてあげられるように彼女の変化を見てあげたり、彼女を肯定してあげることで少し和らげることができるでしょう。

そして、もう1つはすでにお子さんがいて子育てをした方は経験済みだと思いますが、子供は母親の影響をモロに受けます。父親の比ではありません。

教育熱心なママの子どもは良い大学に進学してたりしますよね?母親の肯定感が低い場合、子供も母親の姿を見て育つので同じようにその子の自身への肯定感にも悪影響したり、子供が感じる母親からの愛情の深さにも関わります。

その現状を簡単に変えることは難しいので、子供を思いっきり褒めてあげたり、彼女を気遣ってあげたりパートナーであるあなた(男性)が補ってあげましょう。

自己肯定感を高めるための方法

高める肯定感を高めるためには、まず自己分析しましょう。

「自分のことなんて分からない」と思うかもしれませんが、肯定感の強弱は過去や今の生活環境に何らかの助長させる原因が潜んでいることがあります。

それでも難しいよ!という方はまず、

①自分を責めないこと

②習慣を変える

③環境を変える

①は何か悪いことがあった時、自尊心が無い人は自分を責めることがよくあります。

本当の原因はほかにあるかもしれないのに「自分のせいだ」「何をやってもうまくいかない」というネガティブな思考からこのように突飛な考えになってしまうと、さらに負のスパイラルに陥ってしまいます。

よく「自分を認めてあげましょう」と簡単に言う人がいますが、自分で自分を認めてあげれたら最初から肯定感が無いはずがありません。

私がおすすめするのは少し鈍感なくらいでもいいから「自分を責めないこと」です。

②の習慣とはあなたがいつも目にしている情報をもとに生み出された思考の積み重ねのこと。

肯定感の低い自分を変えたいと思ったら、まずいつも無意識にやっている習慣を変えてみましょう。そうすれば、自然と思考が変わり、今の負のスパイラルから抜け出すことができるでしょう。

③は環境を変えること。環境とは住んでいる町、通っている学校、勤めている職場など。

肯定感が低いのは自分に自信を持てない環境にあるとしたら、環境を変えない限りずっとあなたの思考を占領してしまいます。

難しいように思えるかもしれませんが、人間が身を置く環境はとても大きな意味を持ちます。また、同時に自分を責めない癖をマスターして習慣まで変えることができれば、あなたはきっと自分を変えられると思います。

自分を変える方法の詳しいことは「自分を変えたいなら今すぐやるべき4つの対処法」で紹介していますので、興味があれば覗いで下さい。

関連記事:自分が嫌いでしょうがない/自分を変えたいなら今すぐやるべき4つの対処法

関連記事:自分を変えるには環境と習慣を変えること/夢を叶える1冊のノート

ときには開き直りの精神も必要!

まとめ肯定感の低い人の原因と特徴と、オンリーワン教育の落とし穴の結論ですが、

ナンバーワンになりたい人は目指せいい、オンリーワンになりたい人は目指せばいい、ただ社会全体がオンリーワンを押し付けるのはおかしい話しであって、社会競争力の低い人間を量産したくなければ教育方針を見直すべき。家庭教育も同じ。

根底にあるのは肯定感が低い人間が生み出した「魔物」が世の中の混沌を作っているので、得意なものがないならしょうがない、それでもいい!と時には開き直りの精神も必要。

人それぞれ性格が違うのでその人に合わせた教育や環境を作ってあげることで、本当の「個性」が生まれるのではないでしょうか。逆に言えば、社会が個性を追求するなら全て個別に合わせる気がないと成立しない、ということ。

肯定感が低い原因は広い視野で見ると、今の日本全体の教育体制や社会背景に原因があり、「自分に自信が持てない」「自分はダメだ」と考える人は割合で言うと半数以上が該当します。

根本的な解決も必要ですが、今この瞬間も肯定感が低くて困っている人、生活に障害がある人にとっては死活問題です。



ABOUTこの記事をかいた人

ブログ・投資・ビジネスをメインテーマにした俳句ブログ『Office Exitの俳句』編集者。ブログ運営→投資→ブラック企業から独立。ブログ収益360万、投資収益450万。趣味は俳句。特技は俳句。仕事も俳句。NHK全国俳句大会『入賞』、枕草国際俳句大会『入賞』、子規顕彰全国俳句大会『入賞』、福岡総合俳句大会『優秀賞』。