名古屋走り、茨城ダッシュを知ってますか?全国独自ご当地交通ルールまとめ一覧

道路



「名古屋走り」

「茨城ダッシュ」

「松本走り」

皆さんこれらのフレーズを聞いたことがありますか?舞台となっている愛知県・茨城県・長野県などでは知らない方はいないかもしれませんが、実はこれ悪質な違反運転の「ご当地交通ルール」の名称なんです。

今回は全国に存在する「ローカルルール」の種類と、最近関連ニュースが取り上げられている原因をご紹介していきます。


愛知県「名古屋走り(なごやばしり)」とは一体?

名古屋走り(なごやばしり)とは、全国にあるご当地でしか見られない「ローカルルール」の中でも代表格と言える愛知県で見られる違反運転のことです。

2018年時点で愛知県の交通事故死者数は15年連続「全国ワースト1位」という嬉しくない記録が作られました。


名古屋走りの特徴

車①特徴として10個もの違反運転行為が確認済み。いずれも違反・迷惑行為であり、人身事故や車両事故を起こす要因になっています。以下はWikipediaにも登録されている行為10種。

【信号無視】…信号が青→黄→赤に変わるタイミングでも「まだまだ行ける」と判断し、信号残りしたり赤信号に変わっても侵入する行為。

【速度超過】…広い道路で速度を上げる車が多く、先の信号が赤でも加速して赤信号で急停車する行為。

【ウィンカーを出さず進路変更】…車線を変更する直前にウィンカーを出したり、ウィンカーを出さずに車線変更する行為。

【車線またぎ】…車線変更禁止区間に関わらず左右の車線をまたいで走行する行為。

【右折フェイント】…前の車を追い越すため右折車線に入り、追い越しをしてギリギリで直進車線に戻る行為。

【早曲がり】…青信号になった途端、急発進して対向車が来る前に右折などを行う行為。

【右折中の追い越し】…先頭にいる右折待機車を後続にいる右折車が追い越す行為。

【歩行者軽視】…信号のない横断歩道では歩行者優先であるにも関わらず、手を上げて待っている歩行者がいても止まらないで無視する行為。

【駐車マナー】…車線が多い道路でもお構いなしに左側に駐車していたり、歩道上や交差点付近に駐車する行為。

【車間距離】…走行中でも車一台分の車間距離があれば割り込んできたり、信号待ちの停車中でも異常に車間距離を詰めてくる行為。

【クルマ・バイク】名古屋走りの動画

違反行為をまとめた分かりやすいYoutube動画がありましたので参考までにご覧ください。個人の車だけでなくバスまでもこの傾向があるというのは驚きですよね。

愛知県の交通事故事情

一般的に「名古屋」と地名がついていますが市街地ではなく、近隣の市町で目撃されることが多い傾向にあります。全国的には自動車事故による死傷者数は減少していると言われていますが、愛知県が特に多いのではないかと調査してみました。

愛知県が発表している統計データを見てみると、

死傷者数の推移「あいちの交通安全対策」より引用

昭和40年代の自動車事故による死者数は一時8万人以上に昇りましたが、飲酒運転の取り締まり強化や教育の普及により徐々にその数が減少しています。

しかし、平成16年に死傷者数77,099人を記録すると再び減少しますが、それでも全国的な自動車事故の減少水準には及ばず昭和40年代のような高い水準のままで、死者数・死傷事故件数とも全国ワースト1位を記録。

ちなみに名古屋と言えば、愛知県を代表する世界的な大企業「TOYOTA自動車」の本拠地でもあります。車の普及率がズバ抜けて高いのでしょうか?

自動車保有の推移「あいちの交通安全対策」より引用

(自動車保有率=保有台数÷県民人口)

自動車保有率の推移を見てみると、昭和40年代の5.0から平成23年には1.47と緩やかに上昇していますが、愛知県が発表している「愛知県人口ビジョンPDF」によると1968年の約500万人から2014年には約745万5千人と増加していることを考えるとグラフの見た目以上に普及率は伸びていることになります。

普及台数からの率で見ると人口1人当たりの事故件数は減少していますが、以前として「名古屋走り」のような違反運転で失われた命は簡単に数字で推し量ることができないため、愛知県としてはまだまだ課題が多いと言えるでしょう。

名古屋走りの原因

忙しい②愛知県の事故事情が分かったところでやはり疑問に思うのが、

「どうして、愛知ではそこまで違反運転が横行しているの?」

という点ですよね。まぁ、みんな自動車学校に通ったわけですから違反行為なのは自覚していると思うんですよね。では、一体なにが原因でこのようなことが繰り返されているのでしょうか?

と、思っていた矢先「JCASTニュース」に面白い記事がありました。JAF(日本自動車連盟)愛知支部の担当者がJ-CASTニュースの取材に対して「ネットの情報は誇張しすぎですよ」と笑いながら反論したそうです。

「マナーの悪いドライバーはどこにでも居ますよ。愛知や名古屋周辺だけではありません。私は三重出身で愛知に越してきたんですが、とくに運転マナーが『酷くなった』と感じたことはないですね」

「死亡事故が多いので悪いイメージを持たれていますが、人口を踏まえて見るとそこまで悪い数字じゃないんです。隣の三重や岐阜なんて、愛知の倍以上に悪いんですから。だから、イメージだけが一人歩きしているな、と考えていますね」
JAF(日本自動車連盟)愛知~担当者談~

当のJAF(日本自動車連盟)愛知ではこの「名古屋走り」をメディアが作り出した虚像であり、重要視していないということが見てとれます。確かに愛知の県民性として、

・せっかち

・郷土愛が強い

・安定志向

・倹約家

として知られており、私の周りにいる愛知出身者にしてもそこまで「過激だなぁ」「危険なやつ」というイメージはほとんどありません。また、尾張藩が商売・倹約を勧めた事から冒険を好まない傾向が強く、堅実にお金を貯め込む県民性とすら表現されることもあります。

ということは客観的に見ると「一部の違反者がこの現象を煽っている」と考えるのが普通であり、約409万台と全国最多で車を保有している愛知では日常的な渋滞や通勤ラッシュがあることを想像すれば、せっかちな運転が増えるのは愛知に限ったことではないのかもしれませんね。

結論:語呂が良いことや面白がって取り上げるメディアが多いため「都市伝説」として残っていると考えるのが自然。

その他のご当地「ローカル交通ルール」

色んな車③そのほかにも実在するのか定かではありませんが「都市伝説」として残っている全国各地の「ローカルルール」も見てみましょう。

ちなみに、「とくダネ」「グッド!モーニング」「リーダーニュース」でご当地ルールが取り上げられたためツイップルトレンドにも「#茨城ダッシュ」「#松本走り」などが登場していますよ。

茨城「茨城ダッシュ(いばらきダッシュ)」

特徴は信号が「青」に変わるのと同時に、対向車である直進車より先に右折を行う行為が「茨城ダッシュ」と呼ばれています。

この行為では当然、交差点にある右折方向の横断歩道も青になることから歩行者と接触する恐れがありますよね。ちなみに県警の資料によると「茨城ダッシュ」を禁止する注意喚起が行われており、悪質な違反をすると「反則金4,000円」「違反点数1点」と罰則を受けることになります。

長野県「松本走り」

松本走りも「右折」に関する違反行為のことで直進車が向かってくる直前で右折、信号無視をして右折、左折車が左折している隙に右折などの行為の総称。

長野県松本市は古くから城下町として栄え、現在も松本市内には入り組んだ狭い道路が多く点在しており右折による渋滞が起こりやすいことからこのような行為が蔓延していると考えられています。

ちなみに5月8日に起きた滋賀県大津市で散歩中の園児の列に車が突っ込んだ「死傷事故」を受けて、松本市の菅谷昭市長は13日の定例記者会見で、「松本走りが根付いているなら残念。直していかなければならない」と発言しています。

山梨県「山梨ルール」

山梨ルールとはまるで「右折が優先」とも思えるような独自の交通ルールのことで、減速せずに右折する行為のこと。

他の違反運転と比べて事故率は少ないという結果が出ていますが、いずれにしても日本の法律では直進車より右折車が優先になる状況は存在しません。

山梨で暗黙のルールだとしても、県外から移住してきた人や県外に出ていく人はこのルールを知らないので間違いなく事故の原因となるでしょうね。

兵庫県「播磨道交法(はりまどうこうほう)」

播磨道交法は、兵庫県播州地方の全体的な交通マナーの悪さを揶揄し、神戸新聞社がおフザケで法律的な文章にまとめて新聞に掲載したルールのこと。以下。

播磨道交法

第一章・交差点
(1)先に入った車が優先。右折時、対向車が直進してきても待つ必要なし。
(2)右折時、対向車が左折なら、一緒に曲らなければならない。左折車を先に行かせていると、右折待ちの後続車からクラクションを鳴らされる。
(3)自転車や歩行者は、車が通らなければ、赤信号は青とみなす。
(4)右左折時、横断歩道を人が歩いていても、通れるスペースがあれば、すり抜けるべし。
(5)右折は、右折信号が出てからが勝負。右折信号が消え、赤と続く数秒間に何台潜り込めるか。

第二章・歩道、車線変更
(1)信号のない横断歩道。歩行者は、車が途切れるまで待つべし。車は止まってはくれない。
(2)車線変更。狭い間隔でも、スペースさえあれば割り込み可。
(3)指示器は曲がると同時に出す。

第三章・附則
(1)バスは、停留所から車線に戻るとき、辛抱強く待たなければいけない。
(2)前に人がいれば、クラクションで道を空けさせる。
神戸新聞社「読者投稿欄」より引用

基本的には右折車の優位性を主張するような内容になっていますが、新聞社のおふざけとは言え情報が一人歩きして迷惑と被っている組織や人はいるでしょうね。

愛媛県「伊予の早曲がり」

伊予の早曲がりとは、信号待ちから青信号になった瞬間に急発進し、対向車線からくる直進車より先に右折する行為のこと。

右直事故の典型とも言えるパターンでこの「早曲がり」を警戒して直進車が青信号になっても発進を遅らせる傾向があり、今度は直進車側の渋滞の原因ともなっています。

岡山県「岡山ルール」

岡山ルールとは、右折・左折・車線変更する際にウィンカーを出さない行為のこと。なぜこのような事が行われているのかと言うと、JAF(日本自動車連盟)広報によると「ウィンカーの使用は運転初心者がする恥ずかしい行動」という誤った認識が浸透しているためだとか。

そのため他県では見ることができない不思議な「マスカットグリーンの星形マーク」「合図の文字表示」が道路上に表示されています。

岡山ルール標識岡山県警察より引用

他の違反運転は「誰よりも早く行きたい」という気持ちの表れが見えますが、この行為にいたっては経緯は分かりませんが、少し低レベルなものと言わざるを得ないでしょう。

徳島県「阿波の黄走り」

阿波の黄走りは交差点で信号が青→黄に変わった瞬間、スピードを上げて黄→赤になるときに猛スピードで交差点を通過する行為のことです。

衝突を防ぐために交差点では時差式信号が設けられている地域が多いですが、猛スピードで接触事故が起これば大惨事になることは子供でも分かる行為。

ちなみに、JAF(日本自動車連盟)が2016年に全国の自動車ユーザー6万4677人にアンケート調査を行った「マナーに関するアンケート調査結果PDF」によると、

JAF調査JAF「交通マナーに関するアンケート調査結果」より引用

徳島県は73.5%で「ワースト2位」に選ばれるほど多くのドライバーから敬遠されていることが分かりますね。ちなみに結果の上位を見てみると、

【ワースト1位】香川 80%
【ワースト3位】茨城 67.2%
【ワースト4位】沖縄 64%
【ワースト5位】福岡 59.3%
【ワースト6位】愛知 59.3%
【ワースト7位】大阪 58.9%
【ワースト8位】岡山 58.6%
【ワースト9位】福井 58.2%
【ワースト10位】山梨 51.7%

このような結果となっており、奇しくも「ご当地ルール」の名前が浸透しているせいか紹介したほとんどの県がワースト上位にランクインされています。

ローカルマナーが注意喚起されてる理由

泣く④全国にある「都市伝説」とも言えるローカルマナーが最近、テレビやメディアニュースなど頻繁に取り上げられるようになりました。

テレビ放送でも、

「とくダネ」
「グッド!モーニング」
「リーダーニュース」

などの番組で特集が組まれるほどで、それだけ社会の関心が高いことが推測されます。

これからは全て2019年5月8日に滋賀県大津市で起こったレイモンド保育園の園児13人、保育士3人の列につっこみ15人が病院に搬送され、そのうち2人の園児がなくなった死傷事故に由来しているのでしょう。

保育園の散歩中に起きた事件から散歩ルートを見直す園が続出/最新技術の光と影

この事件は「保育園の散歩中に起きた事件から散歩ルートを見直す園が続出」で詳しく書いていますが、原因は対向車線から右折しようとしてきた車を交わそうとした直進車が右折車と衝突し、その直進車がはずみで歩道に突っ込んだこと。

つまり、当記事で紹介してきた「右折車が優先」とも思えるような身勝手な違反運転に大いに共通。

幅の広い国道や交通量の多い道路は幼保の「お散歩ルート」からあらかじめ外されていることが多いですが、目的地や立地によっては狭い道路や幅の広い道路も使われる可能性は大いにあります。

そうした中で松本走りのように狭い道路で対向車や歩行者を無視した「右折」が行われ、たまたま園児と保育士の列がそこにあったとき、大惨事が起こることは明らか。

また、この事件を受けてタレント・風見しんごさんが高齢で認知症を患っている父親から運転免許証を取り上げた過去がニュース報道されました。

ご長女を交通事故で亡くされた経験があり人一倍敏感な風見さんが語った言葉に胸を打たれましたので掲載しておきます。

「すごく苦しかったけど、そうしてでも鍵を取り上げたのは正解だった。娘の事故の後はそれで良かったんだと強く思えるようになった。頑張って生きてきた人の人生の最後を塀の中で迎えることになる。

皆、自分は事故を起こさないと思って運転してる。でも事故は現実として起きてしまう。ただ事故を起こす側は防ぐことはできる。家族がどう伝えるかは厳しい問題です」
風見しんごさん談

ご当地の交通安全キャンペーンPVが面白い

これまで解説してきた「ローカルマナー」に対して各県・団体からちょっと工夫が凝らされたキャンペーン動画が配信されているので、一部をご紹介しておきます。

脱!香川県・交通事故死ワースト「命が通う 横断歩道」

平成24年9月に制作された交通事故防止啓発用テレビCM。事故死のワースト上位にランキングされることが多い香川県の悲痛な叫びのようにも思えます。

AICHI脱ワースト ROAD SAFETY PROJECT

こちらは15年連続で交通事故死者数がワースト上位の愛知県のTVCM。中日新聞社が「AICHI 脱ワースト実行委員会」を立ち上げ「脱ワースト」を掲げてさまざまな工夫した取り組みを行っています。

実行委員会サポーターを見ると愛知を代表する有名企業がたくさん参加しているところを見ると、行政だけでなく地域ぐるみで解決しないといけない社会問題だと多くの人が認識していることが見てとれます。

脱!止まってくれない栃木県

栃木県安全交通協会が制作したTVCM。栃木県は事故による死傷者数ワーストの上位にはランキングされていませんが、信号のない横断歩道では歩行者優先であるにも関わらず、車が停まってくれない様子を「ゆか!」「せいや!」と横断歩道をまたぐ恋人がお互いの名前を永遠と呼び合う様子を描いた作品で「面白い!」と話題になっています。

ワースト1返上編佐賀県

佐賀県の交通安全啓発CM。人口10万人当たりの人身事故発生件数が平成24年以降5年連続全国ワースト1であることを前面に押し出して、佐賀市民総ぐるみで自動車事故を減らすことができるよう県民に訴えかける目的で制作された作品です。

まとめ

車⑤全国各地にある独自の「ご当地ルール」を紹介してきましたがJAF(日本自動車連盟)職員の発言にもあったように、一部の違法運転行為がメディアなどによって過大に表現された経緯があります。

全ての運転者がそうであるはずはなく「都市伝説」並みに真相を突き止めることは困難ですが、一部の県や地域によっては社会事情や誤った認識によって危険な運転行為があることは事実。

大津市の園児死傷事故のようにたった1回の事故がたくさんの被害者を生み周りの人間を傷つけることになります。ほんの「数秒・数分を稼ぐための運転」「人間の命」は天秤にかけることができないのは誰の目にも明らかではないでしょうか。


ABOUTこの記事をかいた人

ブログ・投資・ビジネスをメインテーマにした俳句ブログ『Office Exitの俳句』編集者。ブログ運営→投資→ブラック企業から独立。ブログ収益360万、投資収益450万。趣味は俳句。特技は俳句。仕事も俳句。NHK全国俳句大会『入賞』、枕草国際俳句大会『入賞』、子規顕彰全国俳句大会『入賞』、福岡総合俳句大会『優秀賞』。