保育園の散歩中に起きた事件から散歩ルートを見直す園が続出/最新技術の光と影

悩む女性



楽しいGWが明けて5月の行楽シーズンは多くの保育園・幼稚園などで遠足や散歩が企画されていると思います。

そんな中で5月8日に起きた滋賀県大津市で散歩中の園児の列に車が突っ込んだ死傷事故。

端からみると「また、保育の不祥事か」と考える方もいるかもしれませんが、今回はその類とはちょっと違う印象を多くの人が抱いています。

今回は事件の概要と、散歩のルール、事件を受けて散歩ルートを変更する園、そして最新技術が明かす光と影の存在にフォーカスしていきます。


大津市の保育園で散歩中に起きた事件とは

事件の概要

2019年5月8日午前10時15分ごろ、大津市内の滋賀県道交差点で対向車同士が衝突しました。

その衝突のはずみで軽乗用車が信号待ちをしていたレイモンド保育園の園児13人、保育士3人の列につっこみ15人が病院に搬送。

大津市消防によれば園児2人が死亡、4人が重傷、10人が怪我。

事故直後に現場に行った男性の証言によると、

「園児3人が倒れ体が動かせない様子の保育士もいた。負傷した子どもたちは次々に救急車で搬送されAEDが道路に置かれていた。保育士と見られる叫び声が響いていた。」

また別の証言では、

「ママー!ママー!と泣き叫ぶ園児の声や、必死に園児の名前を呼ぶ保育士の声が飛び交っており地獄のような光景でした。」

現場は見通しの良い国道で、原因は対向車線から右折しようとしてきた車を交わそうとした直進車が右折車と衝突し、その直進車がはずみで歩道に突っ込んだと言う。

運転していた直進車と右折車のいずれも無事でしたが2人の女性は現行犯逮捕されましたが、直進車の女性は翌日に保釈されました。

信号待ちしていた園児たちの列に突っ込んだ軽乗用車にはブレーキ痕がなく、また近隣住民は「みんな結構飛ばす道だった」と証言していることから時速50~60kmのスピードのまま突っ込んだことを意味しています。

保育園が異例の記者会見


この事故の当日8日にレイモンド保育園を運営する社会福祉法人檸檬会が異例の緊急記者会見を開きました。

理事長に同席した若松ひろみ園長が悲しみのあまり泣き出す展開になり記者たちの関心は園長に集中。

「危険な道だと考えていませんでしたか?」など次々に保育園側の欠点を探すような質問ばかり飛び交い、この記者会見を見ていた多くの人が胸を痛めたことでしょう。

twitterでも記者たちの心無い質問に批判の声が上がっています。

ツイートの写真はGoogleストリートビューで見た地図。実際に私も確認しましたが2018年3月時点で撮影された写真が地図に掲載されています。


見る限り普段から広い交差点の車道から一番離れた奥にしっかり保育士と園児たちが固まっており、事前に決められたマニュアルにしっかり沿っていることが予想されます。

レイモンド保育園側としては説明責任を果たし潔白を証明するための早過ぎる記者会見となった訳ですが、気持ちの整理も全くできていない若松園長が同席し、泣き出したことで記者魂に火がついてしまった、という見解で間違いないと思います。

確かに記者会見で「泣き落とし」という戦法は使われることがあるし、それに慣れている記者たちは血眼になって本当の犯人探しをしている訳ですから、仕方ないと言えば仕方ないでしょう。

しかし、これまでの児童虐待のような園のネガティヴな報道とは違い、同じ幼児を持つ保護者や視聴者がレイモンド保育園側に同情している、と言う点は明らかに今までと異なる記者会見となりました。

小倉智昭さんが遺族の直筆コメントに感動

本日5月10日にフジテレビ系「とくダネ!」でこの大津市の園児死傷事故の特集が放送されました。

番組中でも紹介されましたが、亡くなった園児の父親が滋賀県警を通じて直筆コメントを発表。

「突然の事故で大切な家族を失い、深い悲しみを受けています」とつづった。亡くなった園児の父・学さんは、「今自宅で、話をせず、いつも明るく、いたずらっぽい笑顔も見せることなく、ずっと寝ている娘を見ていると、徐々にではございますが、私共としても娘の死を受け入れざるを得ません」(一部抜粋)
Yahoo!ニュースより引用

まだ事件が起きて2日~3日しか経っておらず娘の死をしっかり受け入れられていない様子が痛々しく伝わってきます。

しかし、驚きなのはこのコメントと同時に保育園に対する感謝の気持ちと、立派に子供たちを育てあげて下さいとの言葉が添えられていたこと。

普通、頭では分かっていても怒りの矛先が必要になるし、何年経っても深い悲しみから這い上がることすら難しいのに。

この言葉に番組司会者の小倉智昭さんも「なかなかあそこまでの気持ちにはなれないと思う」と涙腺を緩めていたのが印象的でしたね。

その一方で、小倉智昭さんに対する「園児や遺族より運転手に対する同情」など無責任発言を指摘する声も上がっています。

つるの剛士さんが怒りのツイート

五児の父親でタレントのつるの剛士さんが8日、この事件の記者会見を見てtwitterを更新しました。

記者会見中に交通量がある道路を散歩に使うことは危険ではないか?という意見があったの対しつるのさんは、

最後には「保育園の先生方、いつも他人の子をみてくださって本当にありがとうございます」と締めくくると、このツイートが大反響となり45万以上の「いいね!」が付けられ、保育士さんに全力でエールを送る形となりました。

保育園の散歩のねらいとルール

散歩言うまでもなく散歩は子どもに季節の変化や外環境の刺激を受けさせて自立心や発達を促す目的で行われており、幼児期には欠かせない教育の一環です。

しかしらここで疑問に思うのが、果たして保育園の散歩にはどんなルールが設けられているのでしょうか?

施設や年齢によっても基準は異なりますが基本的には、

・列(子ども同士が手を繋いで2列もしくは1列で誘導ロープ使用)

・移動手段(徒歩もしくはタイヤのついたカート)

・保育士配置(園児10人に対して保育士3人程度が一般的)

・目的地(公園もしくは共用施設など)

・目的地までのルート

この5つの中でも特に保育士配置やルート決めなどが危険を伴う重要な決定事項。

交通量の多い道や車道・歩道が一緒になっている道は避けて選定されますが、地理上どうしても通過しなければ公園にたどり着けないケースが存在します。

道路には段差や人混み、車に自転車にと危険がいっぱい潜んでいる中で保育士もいつも以上にピリピリとした緊張感の中で引率が行われています。

散歩を無くしてしまえば危険は減りますが、特に園庭のない施設などは園内にずっと子ども達を閉じ込めておくことは教育上で問題あり。

今回の事故の影響で、安全ルートの再確認が行われさらに安全性が高まることに期待したいですね。

事件を受けて散歩ルートを変更する園が続出

チェンジ5月9日付けの「岐阜NEWS WEB」で、8日に起きた大津市園児死傷事故を受けて散歩に使われるルートの安全確認を行うよう岐阜市が呼びかけをした、と報道しました。

岐阜市「みぞはた保育園」では園内が手狭なことから週3回、散歩に出ています。

この時、園児10人に対して3人の保育士が付くようになっており、日によって異なるルートを使用していました。

しかし、8日の大津市園児死傷事故を受け散歩を当面は自粛しますが、散歩から学べることが多いため目的地である公園までの安全を確認した上で、機を見て再開する模様。

岐阜市は市内にある保育園・こども園含む107の施設に「散歩の通り道に危険な場所がないか確認した上でルートを書面で提出することを求めるなどしています。

全国的にも同様の呼びかけの声が上がっていますが、園庭がない園が多いため散歩自体がなくなることは考えにくく、今回の事件が大きく取り上げられている事から可能な限り安全な散歩ルートの策定が行われていくものと思われます。

Googleマップが事件の真相を明かす

ストリートビュー
Googleが提供する「Googleマップ/Google Earth」というサービスがあります。

以前「Googleの哲学」という書籍を読んだときに世界を変える働き方で紹介されていました。その記述によると、これまでは世界中の地図は有料で販売されるものでしたが、Googleは世界中の地図製作会社から地図を買い上げてより詳細な情報と位置関係を集約して無料で提供したのが「Googleマップ/Google Earth」

ほとんどの方が一度は使ったことがあると思いますが、通常の「地図」とより詳細を写真のように確認できる「航空写真」があります。

ナビゲーションとしても活用でき路線図や、無数の位置情報の速度をもとにした渋滞情報を閲覧することもできるまさにオールインワンの地図。

警察に対してGoogleが情報提供することはないと思いますが、しかし現実的にGoogleはスマホや通信機器からの位置情報を速度までキャッチすることができます。

つまり、将来的には事故・事件の、

・人相

・車両ナンバー

・事故状況

・スピード

・目撃者の特定

など現在では顔や車両ナンバーは個人情報なのでモザイクが入っていますが、捜査がGoogleマップをもとに行われる。そんな未来がいつか来るかもしれませんね。

最新技術がもたらす光と影

テクノロジーなぜ、前章で「Googleマップ」を紹介したのかというと実は今回の死傷事件後に異常とも言えるほど、事故現場のGoogleストリートビュー写真がSNSなどに掲載され拡散されています。

もちろんリアルタイムの航空写真が見れるわけではありませんが、生々しい写真を見ることができるため園児と保育士の過去の散歩の様子を伺い知ることができました。

また、その情報によって保育園側は日ごろから細心の注意を払っていたことが推測され、「ちゃんと気を付けていた!」という思考まで拡散されました。

これは園側にとっては救いの光とも言えますが、その一方で園児の列に突っ込んだ運転手は…

かなり、ひどい闇。

もちろん、過失致死罪で幼い2人の命を奪った怠慢運転だったとは言え、実名から過去の顔写真・経歴・家族の写真などネット上に晒されてしまいました。

個人情報が公開できるFacebook、インスタ、TwitterなどのSNSは便利な一方、実名でアカウントを作ることも多く私はこの世の中の流れを見て恐怖を覚えます。

今回の事件は殺意があった訳ではなかったと思われるし、果たしてここまでやる必要があるのか?というほど。

今回の事件の一番の被害者は死傷した幼児・保育士ならびにその遺族ですが、これから生きていくうえで運転者の家族やその周りの人も苦労すると思えば少し同情してしまいますね。

まとめ

守る
今回の事件は明らかに今までの児童虐待など「園の不祥事」とは異なる性質を持っており、遺族だけでなく世の中の保護者が保育園に同情してしまう、という結果になりました。

幼児の成長過程において「散歩」はとても重要な要素。「保育」という機能が目的の園でこれを事故によって自粛してしまうのは本末転倒のような気がします。

一番悪いのは運転していた方ですが私個人の意見としては責める相手は「記者」ではなく、日本の保育制度や公共設備に問題があるのではないでしょうか?

①充分な園庭を確保できないのは開園条件に「十分な庭」は含まれておらず、国から補助金も出なければ拡充することもできません。

それに、②交通量の多い国道沿いの歩道に乗り上げ防止の簡易な縁石しかないのも大問題です。滋賀県全体のマップを眺めていると今回の事故現場となった琵琶湖周りの国道はどこも道路幅が狭い印象。地理的に広げられないのであれば、歩道との間に衝突防止を防ぐ施策をほどこすべきでしょう。

大事な未来の宝となる子どもたちを守っていくための手立てを考える必要があると思います。



ABOUTこの記事をかいた人

ブログ・投資・ビジネスをメインテーマにした俳句ブログ『Office Exitの俳句』編集者。ブログ運営→投資→ブラック企業から独立。ブログ収益360万、投資収益450万。趣味は俳句。特技は俳句。仕事も俳句。NHK全国俳句大会『入賞』、枕草国際俳句大会『入賞』、子規顕彰全国俳句大会『入賞』、福岡総合俳句大会『優秀賞』。